買ってみるまでは、自然栽培の野菜は慣行栽培の野菜より値段が高いと思っていた。
*慣行栽培野菜=化学肥料・殺虫剤・農薬を使って栽培される、日本でもっとも多く出回っている野菜。
自然栽培にも色々とあるけれど、私が初めて見学させてもらった自然栽培農家さんは、有機であれ無機であれ、肥料を一切使わないというやり方。
農薬・除草剤・殺虫剤を使わないのはもちろん、肥料も水も与えず、畑を耕しもせず(不耕起栽培)、草取りもしない。
なので、初めて現地集合でその畑へ伺った時は、
「あれ?◯◯さんの畑この辺だと思うけど、どこだろう? 見渡す限り草むら。。。」
と、戸惑った。車を止めて少し歩いたら、ボーボー生える草たちの中に野菜が成っている畑を見つけた。
そこに農家さんもいて、自然栽培について色々教えてくれた。
草取りをせず、草を生やしたままにしているのも意味がある。夏の暑い日、日照りが続くと土が深くまで乾燥し野菜がダメになるけれど、草があれば、草の根からも水分が補える。
私がその畑へ見学に行った年の夏は猛烈な日照りが続いたので、その夏は野菜に水撒きをしたらしい。
肥料を与えられずに育つ作物は、自ら土の中の養分を探して栄養を得るため、旨味がギュッと詰まっていて美味しい。初めて自然栽培のナスを食べた時は、その美味しさに感動した。
その畑で育ったナスを、普段使用しているオーガニックな菜種油で炒め、自然海塩で味付けしただけのシンプルなナスの塩炒め。食べたら
「なーんてジューシー!!!ベチャッとしてなくてジューシー!!!」
と感動した。
基本的に、そこの畑で栽培される野菜が得る水分は雨。自然に降る雨。
過度な水やりによって水を吸いすぎて野菜が膨らんでいる(浮腫んでいる)わけではなく、本来の適度な水分量や実でふっくらしているので、
加熱した途端にナスから水分が奪われ、それと引き換えにナスが油を吸収し過ぎてベチャッとする。ということがない。
これまでもナスは好きだったし、ナスは油で調理すると油をたっぷり含むもの。それがナス。と思っていたけど、全然違った。
サラダ油ではなく、オーガニックな菜種油で調理したというのもあるけれど、とにかく、とても美味しかった。
そして、無駄に水分が多くないので自然栽培の野菜は傷みにくい。
日が経つとドロドロと溶けて腐るのではなく、シワシワと小さくなり枯れる。
自然栽培の野菜は栽培時に、
・肥料代
・除草剤代
・農薬代
・水道代(水を撒くこともある)
が不要。そのため、自然栽培の野菜は決して高くない。価格でいうと、スーパーに出回る慣行栽培の野菜と変わらなかった。
農薬・除草剤・殺虫剤を使わず肥料も水も与えず、畑を耕さず草取りもしないからといって自然栽培農家さんは何もしていないかというと当然そんなことはない。
毎日畑に足を運び、作物や土の状態を見極め、さまざまな判断の元、作業を行っているので手間暇はかかっている。
なので、薬品代がかからないため野菜が激安。ということはない。高過ぎることのない適正価格。
野菜に限らず、安いモノにはその安い価格で提供できる背景があるし、高いモノには高い価格で提供する背景がある。
・安物は品質が良くないかも
・高いと信頼できそう
・程よい価格だと安心する
という偏見がなんとなくあるけれど、その商品がその価格である理由は、その商品ができる背景を調べないと分からない。
この価格だから良いに違いない。この価格だから信用できない。と、価格で商品の質の善し悪しの判断はできない。
サミー