いつの間にか、自分のクローゼットの中には、綿や麻など、天然繊維の服が増えた。
この寒い季節だと、静電気がほとんど起こらないことや、薄手の生地でも化学繊維と比べて暖かいことなどが気に入っている。
けれど、同じく天然繊維でも、動物性であるシルクの服は、あまり購入意欲が湧かない。
綿や麻の服と比べて値が高いというのもあるけれど、「シルクって、蚕(カイコ)から作られているのよね、、、どうやって?」と思い始めると、ツバメの巣のことが頭をよぎる。
ツバメの巣が何でできているか知った時は、たいそうたまげた。「きしょく悪ぅ。そんなケッタイなもんが、なぜに高級食材?」と思った。
というわけで、シルクについて、ちゃんと調べてみることにした。
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シルクは、蚕(かいこ)がサナギになる際に吐く糸からできている。
サナギが入った繭(まゆ)を、沸騰したお湯で煮て柔らかくし、いく筋かの生糸を、撚り(より)合わせて糸にしていく。
通常のシルクは、作られる工程で蚕を煮56しているということ。
これに対して、ピースシルク(peace silk)と呼ばれるものがある。
サナギを煮56してしまわずに、サナギとなった蚕が羽化して繭を去るのを待ってから、生糸を紡いだもの。これは、アヒンサシルク(Ahimsa Silk)とも呼ばれている。
*アヒンサ:ヒンディ語で「不殺生」を意味する。
他には、蚕が食べる桑の葉に農薬を使わず、周りの環境にも化学肥料・農薬・除草剤を使用せずに作られたオーガニックシルクや、
人に飼いならされた蚕(家蚕:やさん)ではなく、自然の蚕(野蚕=天蚕:てんさん)を使って作られたワイルドシルクなどもある。
けれど、野蚕の飼育は管理が難しい。野蚕は屋外での飼育期間が長いため、気象の影響を受けやすく、収穫が不安定になりやすい。
野鳥やアリ、コウモリ、ネズミなどの外敵の被害にも遭いやすく、収穫の安定化が難しいため、大量生産には向かない。
そのため、近年、動物福祉の考えから「何かを製造する過程で、なるべく生き物を殺生しないようにしよう。」
という動きが世界的に強まってきているけれど、まだまだ、シルクは家蚕による生産が圧倒的に多い。
市場に出回る量が、野蚕シルクよりも圧倒的に多い家蚕シルク(一般的なシルク)。その元となる家蚕とは、一体なんなのか?というと、
野生の蛾(が)を人間が飼い慣らし、数千年かけて家畜化したもの。
より良い生糸を多く効率的に取ることを目的に品種改良を重ねられたため、成虫は、羽化したところで、羽があるのに飛べない。
人間のために遺伝子組み換えを繰り返され、奴隷労働させられた上に煮56されてしまう蚕。。。
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「シルクは、品種改良された蛾のサナギが吐く糸。」という事実だけでもたまげるのに、シルクについて知れば知るほど、積極的に身にまといたい繊維ではないと思った。
サミー